「ハインリヒ、今日はうまく焼けたかね?」
「あ、ミハエルさん。焦げ目の焼き色に少しムラが出てます」
「新しい生地を塗るときは、火加減を見ながら大胆にね」
「ありがとうございます。もう少し残って焼いてみます…」
とあるドイツの片田舎、小さな菓子店の工房で
マイスターと弟子がこんな会話を交わしているかもしれません。
バウムクーヘンは、ドイツの伝統的な焼菓子で「お菓子の王様」と呼ばれています。本場ドイツではバウムクーヘンを上手に焼けてはじめて一人前の職人として認められるそうです。
1919年、ユーハイムの創業者、カール・ユーハイムさんが広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)で開催された展示会で製造販売したのが、日本初のバウムクーヘンです。
以来、日本では本場ドイツを上回ると言われるほど人気のあるお菓子として親しまれる存在となりました。
ドイツ語で木を意味する「Baum(バウム)」と
ケーキを意味する「Kuchen(クーヘン)」がその由来です。
バウムクーヘンの断面は、いくえにも重なる木の年輪に
似ていることから「木のケーキ」=「バウムクーヘン」と
いうのが定説ですが、かつて樫の木を芯棒にして焼いていた
から、という説もあります。
実際、カール・ユーハイムさんは樫の木を芯棒にして
手で回しながら生地をかけ、非常に手間のかかる製法で
一つひとつ焼き上げていました。